ShogunAIのロゴは、どう生まれたのか
兜、折り紙、AI。三つの思想を、ひとつの未来的なシンボルへ。侍を描くのではなく、兜の構造を抽出し、折り紙の幾何学で組み直し、小さなアプリアイコンでも成立するまで削っていった過程を分解する。

ShogunAIという名前から、最初に連想されるものはおそらく「将軍」や「侍」だと思う。しかし、私たちがロゴをつくるときに目指したのは、侍や兜をそのまま描くことではなかった。
刀、家紋、甲冑、墨、赤や黒。日本的なモチーフをそのまま使えば、「Shogun」という名前を表現すること自体は難しくない。
一方で、ShogunAIは歴史を表現するブランドではない。私たちがつくっているのは、AIによって人の仕事のあり方を変えていくソフトウェアだ。
だから最初に考えたのは、日本的でありながら、古く見えないこと。AIらしくありながら、よくあるAI企業のロゴにはならないこと。その二つを、ひとつの形の中でどう両立させるかだった。
兜を「描く」のではなく、「分解する」
ロゴの出発点になったのは、日本の兜だった。ただし、兜そのものをイラストとして描いたわけではない。まず、兜を見たときに「なぜ兜らしく見えるのか」を考えた。
そこにはいくつかの特徴がある。中央に通る強い軸。左右に広がるシルエット。上方向へ向かう鋭い形。そして、その全体を支える下部の安定感。
私たちは、兜に含まれている装飾を一度すべて取り除き、その構造だけを残した。つまり、兜の形を再現するのではなく、兜らしさを構成している幾何学を抽出する。そこからロゴの設計を始めた。

図1|兜の構造を抽出し、平面へ分解し、シンボルへ抽象化するまで。
折り紙を、デザインの言語にする
次に取り入れたのが、折り紙だった。折り紙を選んだ理由は、単に「日本らしいから」ではない。一枚の紙が、折り目によって複数の面に分かれ、その面の組み合わせによって立体的な形が生まれる。そこには、シンプルな素材から複雑な構造をつくるという考え方がある。
そして、視覚的にも折り紙には特徴がある。直線。面。角。対称性。余白。
私たちは「折り紙の絵」をロゴにしたのではなく、折り紙の構造そのものをデザインのルールとして使うことにした。曲線や細かな装飾を避け、ロゴ全体をいくつかの平面へ分解する。その結果、伝統的な兜のシルエットは、より抽象的でデジタルな形へ変わっていった。

図2|Kabuto、Origami、AIから引き継いだ三つの設計思想。
Kabuto × Origami × AI
このロゴは、3つの異なる要素からできている。Kabuto。Origami。そしてAI。
兜からは、強さと中心性。折り紙からは、面の構成と日本的な美しさ。AIからは、幾何学、精密さ、抽象性。
ただし、この3つをそのまま足し合わせたわけではない。むしろ、私たちがやったのは「削ること」だった。兜から装飾を削る。折り紙から具体的なモチーフを削る。AIからロボットや脳といった直接的な記号を削る。それぞれを削っていった先に残る、共通した形を探した。
そして最終的に、中央のひとつの頂点。そこから左右へ広がる面。全体を支える下部。という、現在の構造へたどり着いた。

図3|中央の軸、左右へ広がる面、全体を支える下部。
中央には、一本の強い軸を置く
ロゴの中で最も重要なのが、中央のパーツだ。中央の面は左右より高く設計され、頂点がまっすぐ上を向いている。これによって、ロゴ全体に強い中心軸が生まれる。
左右に広がる形だけでは、シルエットは横へ流れてしまう。一方で中央を強く持ち上げることで、視線が自然と中央の頂点へ集まる。安定していながら、上へ進んでいく。静止しているように見えながら、方向を持っている。その緊張感をつくるために、中央の形は特に細く、鋭く設計した。
左右への広がりが、スケールをつくる
中央に対して、左右のパーツは外側へ大きく広がっている。これによって、中央の鋭さと対照的な横方向の安定感が生まれる。ロゴを小さくしても力強く見えるのは、この左右への広がりがあるからだ。
また、左右の形を単一の面にせず、複数の面へ分割している。その境界によって、平面的なロゴでありながら、折り紙のような奥行きが生まれる。兜としての存在感と、テクノロジー企業としてのシャープさ。その両方を成立させるための構造になっている。
白い部分も、ロゴの一部である
ShogunAIのロゴでは、青い面と同じくらい白い部分が重要だ。それぞれのパーツの間には、細い白い余白が入っている。これは単にパーツを見やすくするための線ではない。
白い余白があることで、それぞれの面が独立し、折り紙の折り目のように見える。同時に、ロゴ全体に速度感と軽さが生まれる。すべての面をつなげれば、形はより重く、ひとつの塊に見える。あえて分離することで、一つひとつのパーツが認識でき、それでも全体としてはひとつのシンボルに見える。
デザインにおいて、描かれている部分だけが形をつくるわけではない。何も描かれていない空間もまた、形をつくる。ShogunAIのロゴでは、そのネガティブスペースまで含めて設計している。

図4|上昇、拡張、安定、余白。形が伝える四つの意味。
伝統色ではなく、Shogun Blue
「Shogun」という名前に合わせるのであれば、黒、赤、金といった色を使う選択肢もあった。しかし、私たちはあえて鮮やかなブルーを選んだ。Shogun Blue、#1A56FF。
理由は、ロゴを過去ではなく未来に置くためだ。形のルーツは日本にある。しかし、ShogunAIが向いている方向は未来にある。
鮮やかなブルーには、テクノロジー、知性、スピード、デジタルといった印象がある。伝統的なモチーフを、現代のソフトウェアとして成立させる。その最後の役割を担っているのが色だった。
形は日本から。色は未来から。それが、ShogunAIのカラー設計の考え方だ。

図5|Shogun Blueを中心に据えた、未来志向のカラーパレット。
ロゴではなく、プロダクトの一部として
ロゴは、大きく表示したときだけ美しければいいわけではない。ShogunAIはソフトウェアだからこそ、ロゴが最も頻繁に現れる場所は、Webサイトだけではない。
アプリアイコン。ブラウザのタブ。ナビゲーションバー。ダークモード。モノクロ表示。小さな画面の中でも、一目でShogunAIだと認識できる必要がある。

図6|カラー、モノクロ、反転、アプリアイコンでの展開。
そのため、最終的なロゴでは細かな装飾をできるだけ排除した。いくつかの大きな面だけで形を成立させ、小さく表示しても中央の頂点と左右への広がりが失われないようにした。
カラーが使えない環境でもシルエットが崩れない。白背景でも、黒背景でも機能する。
ロゴ単体として完成させるのではなく、プロダクトの中で使われることまで含めてデザインする。そこまでが、ShogunAIのロゴ設計だった。

図7|Web、ダークUI、アプリアイコン、ブランドロックアップへの応用。
一つの形に、ShogunAIを圧縮する
完成したロゴは、一見すると非常にシンプルだ。中央の頂点と、左右へ広がるいくつかの面。
しかし、その形にたどり着くまでには、兜を観察し、構造を分解し、折り紙というデザイン言語へ置き換え、AI企業として成立するところまで抽象化し、小さなアプリアイコンでも機能するところまで削っていく、というプロセスがあった。
私たちがつくりたかったのは、「将軍を描いたロゴ」ではない。日本の兜が持つ構造を抽象化し、折り紙の幾何学によって再構築し、未来のソフトウェアのためのシンボルへ変えること。
その結果として生まれたのが、現在のShogunAIのロゴである。
